1−2|リーダーの役目

信頼されるリーダーへの道

この記事では、次のことがわかります。

組織におけるリーダーの役割とは?

前回は「信頼されるリーダーとは?」というテーマでお話しました。

今回は、「リーダーの役割とは具体的に何なのか?」という点について掘り下げていきたいと思います。

自衛隊におけるリーダーのイメージは、どのようなものでしょうか?

  • 隊員の前に立って、命令を下している姿
  • 現場で細やかに指示を出している姿
  • テレビなどで取材を受け、話をしている姿

概ねそのようなイメージを持たれているかもしれません。しかしながら、それはリーダーの役割のほんの一部に過ぎません。

リーダーの重要な役割は、次の3点です。

  • 責任を果たす
  • 決定する
  • チームをまとめる

「言葉にすると、一般的な企業や他の公務員とさほど変わらないのではないか?」と思われるかもしれませんが、役割自体に特に変わった点はないと言って良いと思います。

しかしながら、自衛隊においては、これらの役割を徹底的に遂行することが求められます。

今回は、自衛隊を例に、リーダーの具体的な役割についてご紹介します。

責任を果たす:組織と仲間を守る覚悟

リーダーの大きな役割の一つに、「責任を果たす」というものがあります。

  • 狭義の解釈:チームが達成すべき仕事を完遂すること。
  • 広義の解釈:チームが社会的な秩序、組織的な秩序を保つこと。そして、仲間が幸福な生活を送れるようにすること。

つまり、チーム全体の責任を負うのがリーダーの役割です。

ニュースで「責任を取って辞任します」と発言するリーダーがいますが、個人的には「責任を果たせなくなったため辞任します」と言う方がより適切だと考えています。

なぜなら、リーダーは、チームが目標を達成できなかったり、メンバーが問題を起こしたり、不幸な事態が発生した場合に、何らかの形で責任を負う立場にあるからです。

自衛隊においては、任務の失敗は国防に直結するため、基本的に任務の未達成は許されません。いかなる困難な状況においても、あらゆる手段を講じて任務を達成することが求められます。

私も過去に、報道されるような事態に対応した際、現場指揮官として対処した経験があります。
それは、ある事故の対応の際でした。
現場は対応が困難な上に、現場の部下隊員も負傷しかねない状況でした。「もうこれ以上は無理かもしれない…」という部下隊員の雰囲気を感じ取っていました。
しかしながら、私は諦めが悪く、最後まで諦めずにあらゆる手段を考え続け事態の収拾にあたりました。
もちろん、内心は部下隊員の負傷は絶対に避けたいが、これ以上はもうダメかもしれないと言う考えもありました。
しかしながら、部下の士気(やる気やモチベーションなどを指します。)に関わるため、表情には一切出しませんでした。
部下も、不安ながらも具体的に指示された仕事を一生懸命やり続け、結果的に任務が達成できました。
この経験から、リーダーが最後まで諦めない姿勢を示すことが、いかに重要であるかを学びました。

決定する:迅速に判断し決める

リーダーには、組織的な役割に応じて、様々な事項を決定する権限が与えられます。

  • 仕事の方針:目標設定、業務の進め方
  • 人事の方針:採用、配置、評価
  • 金銭の方針:経費の使い方

これ以外にも、リーダーは日々、多くの細かな決定を求められます。

リーダーは、決定を避けることはできません。むしろ、与えられた権限の範囲内で適切に決定を下すことができなければ、リーダーとしての役割を果たすことは難しいでしょう。

もちろん自衛隊でも決定の際はリーダーの判断が問われます。

〈ある日のやりとり〉
部下「VBGU3佐、今日の昼ごはんは何を注文されますか?」
上司「ん〜(日替わり定食もいいな、カレーもいいな)カツ丼で行こう!」

〈ある日のやり取り〉
部下「VBGU3佐、A隊員が急遽、体調不良により任務に参加できません。」
上司「ん〜(人員的には1名欠員だが、安全にできそうだな)了解、このまま任務を遂行しよう。」

冗談も交えていますが、自衛隊のリーダーは、任務にあたっては即断即決が基本です。

チームをまとめる:組織力を高める団結力

そもそも、チームとは何でしょうか?

チームをチームたらしめる必要条件は「共通の目的」です。

引用元:(THE TEAM 5つの法則 著 麻野耕司)3p

この「共通の目的」を共有するチームを構築するために、メンバーをまとめ、団結を促すことが重要となります。

自衛隊における「共通の目的」は「国を守ること」です。目的があまりに大きく、集団の力が絶対に必須であり、機能も多岐にわたるため、自衛隊はチームの団結を非常に重視しており、幹部養成の過程でもこの点が強調されます。

例えば、〈連帯責任〉チームの誰かがミスをすれば、チーム全体が責任を負うと言うことです。これには、絶対に仲間を見捨てない、団結してチームの力で任務をクリアすると言う意味が含まれています。

教官「集合時間に遅れたから、VBGU隊員の班は全員基地を1周駆け足してくるように。」
チーム「イエッサー!」
VBGU「みんなごめん・・・」

例えば、Aさんが熱心に訓練計画を立案しても、参加者のBさんが集中していなければ、訓練の効果は十分に発揮されません。

装備品を整備する隊員がいても、使用する隊員が誤った使い方をすれば、任務を達成できない可能性があります。

私は過去、チームをまとめることに成功した経験と失敗した経験の両方を持っています。成功した時は、部隊に活気があり、改善活動や部下の自発的な行動が活発に見られました。

一方、失敗した時は、不平不満が多く、部隊の活動において細部にわたる指示が必要となりました。これらは全て、リーダーである私の指揮の結果です。

チームをまとめるということは、リーダーにとって最も困難な課題の一つと言えるでしょう。

まとめ

今回は、リーダーの役割についてご紹介しました。

  • 責任を果たす
  • 決定する
  • チームをまとめる

この3点が、リーダーの重要な役割でした。

次回は、「リーダーに必要な要素」についてご紹介したいと思います。

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